夢01
昨日の夜、自分が死ぬ夢を見た。
僕はガラス張りのエレベーターに乗っていて、そのドアが開くと昔飼っていた猫が乗ってきた。でもその猫はドアとエレベーターの間の隙間に挟まってしまった。そのままエレベターのドアは閉まり、猫が壁と動き出したエレベーターの間ですりつぶされてぐしゃぐしゃになり、その振動はまるで大きな地震の様にエレベーターと僕の身体に伝わってきた。僕はどうしようもなく悲しくなった。でも涙はまったく出なかった。そして僕の隣りを見ると僕の弟と父親が死んでいた。ねじ曲がった猫の死体もあった。僕は手を伸ばして猫を抱きしめようとしたけれど、猫はずっと下に落ちていった。その時、エレベーターのガラス越しに白い光りが見えた。それはまるで原爆がすぐ近くに落ちたような光で、そこから一筋の黄色い光りが僕のすぐ近くまで伸びてきた。僕にはそれに触れたら死ぬことがなんとなく分かっていた。僕は避けようと思えばその光りを避けることができたけれど、進んでその光の中に入っていき、地面に横たわった。僕の視界は真っ白に染まっていった。そして眠りに落ちるように自分の意識が薄くなっていくのが分かった。少しずつ息が詰まりそうになり、僕は死ぬんだと思った。僕は好きな女性のことを思い出した。それは僕が過去3年間ずっと片思いしてきた女性だった。僕は彼女に触れたかったと思った。彼女と解り合いたかったと思った。でもそれは叶わなかったのだという事を受け入れた。そして自分がやり残した事、できなかったこと全てに別れを告げた。僕は悲しくて悔しい気持ちになったけれど、これからどうなるんだろうという恐怖に襲われていた。死んでいくはずなのに自分を見つめているもう一人の自分自身はまだ意識があった。でもそれも急激に薄れていき、意識がまぶしいほど白ばんで消える最後の瞬間、あらゆる意味を込めて、あらゆるものに対し,「さよなら」と心の中で叫んだ。
すると僕はその夢から覚めた。